海外FXで利益が出たあとに、心配になるのが税金ではないでしょうか?海外FXで得た利益であってもほとんどの場合、日本で納税しなければなりません。
また、海外FXと国内FXでは、課税方式が異なります。この記事では海外FXの税金について以下の内容を解説しています。
- 海外FXでの税金がかかる範囲
- 海外FXと国内FXの税金に関する違い
- 海外FXでの効果的な節税対策
海外FXの税金について知りたい方は、この記事を参考にしていただければ幸いです。
海外FXを使っていても日本で納税する義務がある
海外FXを使っていても、ほとんどの場合日本で納税する義務があります。もし、納税を怠ると厳しい罰則が課されることもあります。
しかし、例外もあるため、納税義務について見ていきましょう。
納税を怠ると罰則が課されることも
日本に住んでいる人(居住者)には、日本で納税する義務があり、納税を怠ると罰則が課されます。
納税は憲法で規定された義務です。よって、悪質な脱税行為には刑事罰が課されることもあります。
また、確定申告が必要なケースであるにもかかわらず、期限内に申告を行わなければ、「無申告」にあたり、「無申告加算税」が課される場合もあります。
したがって、海外FXで利益が出た場合は、申告が必要なケースかどうかを検討し、必要であれば期限内に確定申告が必要です。
例外:海外で海外FX業者を使っている場合は日本に納税する義務はない
納税義務の例外として、海外在住(非居住者)で海外FX業者を使っている場合は、日本に納税する義務はありません。
しかし、以上のような場合でも、居住国の税制にしたがって納税する必要があるでしょう。
海外FXで納税が必要になる課税対象
海外FX取引のどこまでが課税対象となるのかを見ていきましょう。
基本的に、その年の1月〜12月末までに発生した「確定利益」が課税対象になります。「確定利益」とはポジションを決済することによって、利益額が確定された時点の利益を指します。
つまり、ポジション保有している状態での含み益は課税対象とはなりません。ただ、出金可能なボーナスやキャッシュバックも課税対象になるので注意が必要です。
いくら利益を出すと納税の義務が発生する?
海外FXでは、どのくらいの利益が出ると納税する義務が発生するのでしょうか。結論からいえば人によって異なります。
- サラリーマンなどの給与所得者の場合、海外FXなどの給与以外の雑所得が年間20万円を超えると課税対象となります。
- 給与所得のない自営業者や専業主婦の場合、所得が年間48万円を超えると課税対象となります。
なお、収入の全てが課税対象となるわけではありません。収入を得るために必要な経費や控除できる金額を差し引いた後の、残り金額が課税対象となります。
したがって、収入から経費や控除できる金額を差し引いた後の金額により、納税義務の有無を判断することになります。
海外FXは国内FXと課税方法が異なる。違いを解説
海外FXと国内FXの課税される場合の違いを見ていきましょう。主な違いは以下の4つです。
- 課税方法
- 税率
- 損失繰越
- 損益通算
1つずつ確認していきましょう。
課税方法の違い:海外FXは総合課税
海外FXと国内FXでは課税方法が異なります。海外FXは「総合課税」国内FXは「申告分離課税」です。
海外FXは総合課税
海外FXは総合課税の対象です。総合課税では、他の所得と合算した金額に対して課税されます。総合課税の所得は10種類に分類されます。
- 事業所得
- 山林所得
- 退職所得
- 不動産所得
- 給与所得
- 利子所得
- 配当所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 雑所得
ただし、分離課税の対象となる所得は除かれます。海外FXは雑所得に分類されます。
国内FXは申告分離課税
国内FXは申告分離課税の対象です。申告分離課税では他の所得とは合算せず、確定申告により課税されます。
申告分離課税の対象となるものには、以下のようなものがあります。
- 不動産売却による譲渡所得
- 株式などの譲渡所得
- 国内FX取引による雑所得
国内FXで得た利益は「先物取引に係る雑所得等」に分類されます。
税率の違い:海外FXは累進課税制度が適用される
海外FXと国内FXでは税率が異なります。海外FXは「累進課税」が適用されるのに対し、国内FXでは一律20%の税率が適用されます。※2037年までは復興特別所得税をあわせた20.315%
海外FXは累進課税
海外FXには以下のように累進課税が適用されるため、所得金額に応じて異なる税率が適用されます。ただし、住民税は所得額に関わらず一律10%です。
課税される所得金額 | 所得税率 | 控除額 | 住民税 |
---|---|---|---|
1000円~194万9000円 | 5% | 0円 | 10% |
195万円~329万9000円 | 10% | 9万7500円 | 10% |
330万円~694万9000円 | 20% | 42万7500円 | 10% |
695万円~899万9000円 | 23% | 63万6000円 | 10% |
900万円~1799万9000円 | 33% | 153万6000円 | 10% |
1800万円~3999万9000円 | 40% | 279万6000円 | 10% |
4000万円以上 | 45% | 479万6000円 | 10% |
さらに、2037年12月31日までは、2.1%の復興特別所得税がかかります。
国内FXは一律20%
国内FXでは所得に関わらず、一律20%(2037年までは復興特別所得税をあわせた20.315%)の税率が適用されます。
20%の内訳は所得税15%、地方税5%(2037年までは復興特別所得税0.315%)です。
損失繰越の違い:海外FXは損失繰越ができない
海外FXでは、損失の繰り越しができません。損失繰越とは、その年の最終損益がマイナスになった場合、マイナス分を翌年以降の利益から控除できるという制度のことです。
国内FXでは最長3年間の損失繰越が認められているため、マイナス分を繰り越すことで翌年以降の利益を圧縮し、税額を減額することができます。
しかし、海外FXでは損失繰越が認められていないため、損失を翌年以降の利益圧縮に利用することはできません。
国内FXやその他の投資との損益通算はできない
海外FXでは、国内FXやその他の投資との損益通算はできません。したがって、別々に所得を計算する必要があります。
ただ、国内FXなどの申告分離課税が適用される所得との損益通算ができないのであって、総合課税が適用される雑所得との損益通算は可能です。
海外FXと国内FXの実際の税額はどう変わる?
海外FXと国内FXの実際の税額がどうなるのかを見ていきましょう。まずは、税額に大きく影響する所得と税率についての概要を解説していきます。
海外FXと国内FXの所得と税率の概要
税額の主な変動要因は「所得」と「税率」です。まずは、所得から見ていきましょう。
所得は以下の計算式で算出されます。
- 所得=収入-経費-控除
所得は、収入から経費や控除額を差し引いた金額のことです。
次に税率です。
- 国内FXでは申告分離課税によって課税されるため、一律20.315%です。(復興特別所得税0.315%)
分離課税=FXでの所得×20.315% - 海外FXでは総合課税により税額が算出されるため、他の所得と合わせて計算します。
所得税=所得×所得税率(表参照)
課税される所得金額 | 所得税率 |
---|---|
1000円~194万9000円 | 5% |
195万円~329万9000円 | 10% |
330万円~694万9000円 | 20% |
695万円~899万9000円 | 23% |
900万円~1799万9000円 | 33% |
1800万円~3999万9000円 | 40% |
4000万円以上 | 45% |
また、他にも住民税と復興特別所得税がかかります。
- 住民税=所得×10%(所得割)+均等割
- 復興特別所得税=所得税×2.1%
住民税には所得割と均等割があり、所得割は一律10%、均等割は通常5,000円です。
海外FXと国内FXの税額を比較
給与所得者がFXで利益を出した場合の税額は、海外FXと国内FXでそれぞれ場合で異なります。
給与 | FX利益 | 海外FXの税額 | 国内FXの税額 | 差額 | |
---|---|---|---|---|---|
ケース1 | 400万円 | 100万円 | 568789円 | 571890円 | 3101円 |
ケース2 | 400万円 | 200万円 | 872998円 | 775040円 | -97958円 |
ケース3 | 600万円 | 100万円 | 1055518円 | 954469円 | -101049円 |
上記ケースは、基礎控除以外の控除や経費などを考慮していない大まかな数値になります。ある程度の目安として参考にしてください。
以下でそれぞれのケースの詳細を解説していきます。
ケース1の詳細(海外FX)
海外FXでの税額は568,789円(申告時は100円未満の端数を切り捨てた金額)内訳は以下の通りです。
所得税額228,500円
- 給与所得2,760,000円
4,000,000円(給与)-1,240,000円(給与所得控除:下表の計算式より) - FX所得1,000,000円
- 合計所得金額3,760,000円
2,760,000円+1,000,000円 - 課税所得3,280,000円
3,760,000-480,000円(基礎控除) - 課税所得から適用される税率は20%、控除額427,500円
- 所得税額228,500円
3,280,000円×20%-427,500円
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
---|---|
1625000円以下 | 550000円 |
1625000円超1800000円以下 | 収入金額×40%-100000円 |
1800000円超3600000円以下 | 収入金額×30%+80000円 |
3600000円超6600000円以下 | 収入金額×20%+440000円 |
6600000円超8500000円以下 | 収入金額×10%+1100000円 |
8500000円超 | 1950000円(上限) |
住民税額335,500円
- 合計所得金額3,760,000円
2,760,000円+1,000,000円 - 課税所得3,330,000円:3,760,000円-430,000円(基礎控除)
- 調整控除額:2,500円
- 住民税均等割:5,000円
- 住民税額335,500円
3,330,000円×10%-2,500円+5,000円
復興特別所得税額4,789円
- 復興特別所得税4,789円
228,500円×2.1%
ケース1の詳細(国内FX)
国内FXでの税額は571,890円(申告時は100円未満の端数を切り捨てた金額)内訳は以下の通りです。
申告分離課税の税額203,150円
- 申告分離課税の税額203,150円
1,000,000円×20.315%
所得税額130,500円
- 給与所得2,760,000円
4,000,000円-1,240,000円(給与所得控除額の計算式より) - 合計所得金額2,760,000円
- 課税所得2,280,000円
2,760,000-480,000円(基礎控除) - 課税所得から適用される税率は10%、控除額97,500円
- 所得税額130,500円
2,280,000円×10%-97,500円
住民税額235,500円
- 合計所得金額2,760,000円
- 課税所得2,330,000円
2,760,000円-430,000円(基礎控除) - 調整控除額:2,500円
- 住民税均等割:5,000円
- 住民税額235,500円
2,330,000円×10%-2,500円+5,000円
復興特別所得税額2,740円
- 復興特別所得税額2,740円
130,500円×2.1%
ケース2の詳細(海外FX)
海外FXでの税額は872,998円(申告時は100円未満の端数を切り捨てた金額)内訳は以下の通りです。
所得税額428,500円
- 給与所得2,760,000円
4,000,000円-1,240,000円(給与所得控除額の計算式より) - FX所得2,000,000円
- 合計所得金額4,760,000円
2,760,000円+2,000,000円 - 課税所得4,280,000円
4,760,000-480,000円(基礎控除) - 課税所得から適用される税率は20%、控除額427,500円
- 所得税額428,500円
4,280,000円×20%-427,500円
住民税額435,500円
- 合計所得金額4,760,000円
2,760,000円+2,000,000円 - 課税所得4,330,000円
4,760,000円-430,000円(基礎控除) - 調整控除額:2,500円
- 住民税均等割:5,000円
- 住民税額435,500円
4,330,000円×10%-2,500円+5,000円
復興特別所得税額8,998円
- 復興特別所得税額8,998円
428,500円×2.1%
ケース2の詳細(国内FX)
国内FXでの税額は775,040円(申告時は100円未満の端数を切り捨てた金額)内訳は以下の通りです。
申告分離課税の税額406,300円
- 申告分離課税の税額406,300円
2,000,000円×20.315%
所得税額130,500円
- 給与所得2,760,000円
4,000,000円-1,240,000円(給与所得控除額の計算式より) - 合計所得金額2,760,000円
- 課税所得2,280,000円
2,760,000-480,000円(基礎控除) - 課税所得から適用される税率は10%、控除額97,500円
- 所得税額130,500円
2,280,000円×10%-97,500円
住民税額235,500円
- 合計所得金額2,760,000円
- 課税所得2,330,000円
2,760,000円-430,000円(基礎控除) - 調整控除額:2,500円
- 住民税均等割:5,000円
- 住民税額235,500円
2,330,000円×10%-2,500円+5,000円
復興特別所得税額2,740円
- 復興特別所得税額2,740円
130,500円×2.1%
ケース3の詳細(海外FX)
海外FXでの税額は1,055,518円(申告時は100円未満の端数を切り捨てた金額)内訳は以下の通りです。
所得税額548,500円
- 給与所得4,360,000円
6,000,000円-1,640,000円(給与所得控除額の計算式より) - FX所得1,000,000円
- 合計所得金額5,360,000円
4,360,000円+1,000,000円 - 課税所得4,880,000円
5,360,000-480,000円(基礎控除) - 課税所得から適用される税率は20%、控除額427,500円
- 所得税額548,500円
4,880,000円×20%-427,500円
住民税額495,500円
- 合計所得金額5,360,000円
4,360,000円+1,000,000円 - 課税所得4,930,000円
5,360,000円-430,000円(基礎控除) - 調整控除額:2,500円
- 住民税均等割:5,000円
- 住民税額495,500円
4,930,000円×10%-2,500円+5,000円
復興特別所得税額11,518円
- 復興特別所得税額11,518円
548,500円×2.1%
ケース3の詳細(国内FX)
国内FXでの税額は954,469円(申告時は100円未満の端数を切り捨てた金額)内訳は以下の通りです。
申告分離課税の税額203,150円
- 申告分離課税の税額203,150円
1,000,000円×20.315%
所得税額348,500円
- 給与所得4,360,000円
6,000,000円-1,640,000円(給与所得控除額の計算式より) - 合計所得金額4,360,000円
- 課税所得3,880,000円
4,360,000-480,000円(基礎控除) - 課税所得から適用される税率は20%、控除額427,500円
- 所得税額348,500円
3,880,000円×20%-427,500円
住民税額395,500円
- 合計所得金額4,360,000円
- 課税所得3,930,000円
4,360,000円-430,000円(基礎控除) - 調整控除額:2,500円
- 住民税均等割:5,000円
- 住民税額395,500円
3,930,000円×10%-2,500円+5,000円
復興特別所得税額7,319円
- 復興特別所得税額7,319円
348,500円×2.1%
以上の比較からわかる通り、給与収入やFXの利益が多くなればなるほど、海外FXは税金の面では不利といえるでしょう。
国内FXと海外FXで確定申告のやり方が違う
国内FXと海外FXでは課税方法が異なるため、確定申告の際も別々に入力することになります。
例えば、国税庁の確定申告書作成コーナーでは、「総合課税の所得」と「分離課税の所得」では記入する欄が別々に設けられています。
国内FXと海外FXでは、確定申告の際に別々に入力を行う必要があります。しかし、そもそも確定申告が必要ではない場合もあります。
確定申告が必要な所得ラインは給与所得者と非給与所得者で以下のように異なります。
- 年収2,000万円以下の給与所得者では、FXの年間所得が20万円を超える場合
- 非給与所得者では、FXの年間所得が48万円を超える場合
ただし、確定申告が必要ない場合でも、住民税の申告は必要です。また、国内FXでの損失を繰り越すには、確定申告を行う必要があります。
海外FXでできる節税対策
海外FXでできる節税対策をいくつか見ていきましょう。
海外FXの経費になるもの
経費はFXの利益から差し引くことができるため、節税対策に利用できます。経費として認められるには、利益をあげるために必要な費用として、合理的に説明できるものでなければなりません。
したがって、領収証など客観的に証明できるものは保管しておきましょう。経費として認められやすいものとして以下のようなものがあげられます。
- FXの書籍やセミナー代金
- セミナーの交通費
- EAやインジケーターの購入費
- FX取引専用のパソコンや周辺機器
他の雑所得と合算し損益通算する
海外FXで発生した収益は、他の雑所得で発生した損失と合算させることができます。雑所得は利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得に当てはまらない所得を指します。
例えば、仮想通貨の損益は雑所得として計算されます。したがって、仮想通貨で出た損失をFXの利益と合算することで、課税される雑所得の金額を減らすことも可能です。
所得控除制度を利用する
所得控除を利用することで、税額を減らすことが可能です。所得控除には以下のようなものがあります。
所得控除 | 控除額 |
---|---|
基礎控除 | 最大48万円 |
配偶者控除 | 38万円 |
配偶者特別控除 | 最大38万円 |
扶養控除 | 38万円 |
社会保険料控除 | 負担した保険料全額 |
生命保険料控除 | 一定の計算式に当てはめて算出 |
雑損控除 | 一定の計算式に当てはめて算出 |
医療費控除 | 一定の計算式に当てはめて算出 |
小規模企業共済等掛金控除 | 負担した掛金の全額 |
地震保険料控除 | 一定の計算式に当てはめて算出 |
寄附金控除 | 一定の計算式に当てはめて算出 |
障害者控除 | 最大75万円 |
寡婦控除 | 27万円 |
ひとり親控除 | 35万円 |
勤労学生控除 | 27万円 |
基礎控除だけでも最大48万円あるため、該当する控除を十分に利用してください。
入金ボーナスが節税に使えることもある
入金ボーナスを利用して節税ができる場合もあります。例えば、異なる業者間で反対のポジションを同時に保有した場合などです。
以下のようなケースを想定してみましょう。
- 異なる業者間で100%入金ボーナスを利用
- それぞれの口座で同時に反対のポジションを保有
- どちらかの口座がゼロになった時点で決済
このような取引をした結果、損益は以下ようになります。※スワップポイントなどは考慮していません。
入金額 | 入金ボーナス | 損益 | 本来の損益 | |
---|---|---|---|---|
A社 | 5万円 | 5万円 | 10万円 | 10万円 |
B社 | 5万円 | 5万円 | -10万円 | -5万円 |
合計 | 10万円 | 10万円 | 0円 | 5万円 |
それぞれの業者での発生した損益を損益通算すると、FXでの所得はゼロとなり税金はかかりません。
しかし、B社の入金ボーナスによって補填された5万円分があるため、本来の損益は+5万円です。
したがって、以上のような取引を行うことで、5万円分の利益を非課税で得ることができます。ただし、このような取引は、ほとんどの業者で違反行為となり、ペナルティが課されてしまうでしょう。
ですから、ここでのポイントは、損益通算できる損失にボーナス分の損失も計上することができるということです。
例えば、上表の取引が、異なる時期に行われたと考えてみましょう。
- 1月にA社で10万円の利益を確定
- 12月にB社で10万円の損失を確定
以上の取引を損益通算すれば同じ結果が得られます。つまり、自己資金の減少は5万円であるのに対し、取引での損失は10万円となります。
このように、ボーナスの損失分を計上することで、利益の圧縮が行えます。ただし、法律上グレーな部分もあるため、管轄の税務署に問い合わせるなどの確認が必要です。
税金の支払いに必要な資金は別で管理しよう
税金の支払いに必要な資金は、別口座などで管理することをおすすめします。なぜなら、課税される所得の算出期間と実際の支払い時期が異なるからです。
課税される所得の算出期間はその年の「1/1~12/31」であるのに対し、納税の期限は翌年の3/15までです。
例えば、以下のようなケースを想定してみましょう。
- 2020年1月に2,000万円の資金を元手にFX取引で5,000万円の利益を確定
- 2021年1月に6,000万円の損失を確定
このケースでは、2020年に納めなければならない税金は約2,500万円です。しかし、2021年1月に6,000万円の損失を出してしまっているため、手許資金は1,000万円しかありません。
したがって、税金を支払うための資金が足りません。税金の支払いができなければ最悪、資産が差し押さえられてしまうこともあり得ます。
このような事態に陥らないためにも、あらかじめ支払わなければならない税金は別口座などで確保しておくべきでしょう。
まとめ
海外FXで利益が出れば、税金を納めなければなりません。しかし、仕組みや構造が複雑であるため、できれば避けて通りたいと誰もが思うのではないでしょうか。
確かに、確定申告や税金に関する処理は複雑で面倒なものが多いのも事実です。しかし、今後も資産運用を続けていくのであれば、知っておいて損することはありません。
むしろ、知らないことで損をしてしまうケースの方が多いでしょう。また、投資は自己責任で行わなければならないため、多くの場合知らなかったでは済まされません。
したがって、この機会に少しでも税金に関する知識を身につけておくことをおすすめします。