まとまった資産の運用を投資のプロにお任せでき、高利回りが期待できるヘッジファンド。 海外では認知度も高い投資先ですが、日本でも個人の資産運用先として人気が高まりつつあります。
しかし、投資信託や株式投資などの王道の投資方法と比べてヘッジファンドはネットなどで入手できる情報が限られているのが難点。
安易に手をだして大損をしないためにも、ヘッジファンドの特徴や選び方のポイントをしっかりと抑えておくことをおすすめします。
本記事では、ヘッジファンド投資を検討したい方向けに、参考情報として日本国内のおすすめヘッジファンドをランキング形式で紹介します。
日本のヘッジファンドの特徴、投資にあたっての注意点、日本で購入する方法なども併せてご紹介しますのでぜひ最後まで目を通してみてください。
日本でもヘッジファンドの存在感が高まっている
ヘッジファンドの概要と海外/日本での市場規模
ヘッジファンド(Hedgefund)とは、投資家から集めた資金を株式、債券、為替、先物商品など幅広い金融商品に投資し、市場の良し悪しに関わらず常に利益を追求する(=絶対収益)ファンドです。
ヘッジファンドの始まりは1949年のアメリカ、元コロンビア大学教授で金融ジャーナリストであったアルフレッド・W・ジョーンズ(Alfred Winslow Jones)がロング・ショートポジション戦略を採るファンドを組成して運用を始めたのが始まりと言われています。

(引用:A.W. JONES ADVISORS LLC)
富裕層や機関投資家の資産運用先としてアメリカを中心に発展きしてきたヘッジファンドは、その圧倒的な資産力と桁違いの利回りで今や世界の金融市場や経済活動において大きな存在感を示しており、世界のヘッジファンド市場規模は約4兆6,000億米ドル(2023年8月21日現在の為替レートでは約668兆円)に膨れ上がっています。
日本の1年の国家予算(一般会計と特別会計の合計)が約300兆円と言われていますから、軽く2倍以上という計算になります。
日本ではまだ馴染みの薄い人も多いヘッジファンドですが、実は日本でもすでに2000年ごろから年金基金や銀行、保険会社、大学など投資先ポートフォリオの一つとして定着しています。
またヘッジファンド発展の波はゆるやかに日本の富裕層や一般の人の間にも広がっており、昨今では日本で組成された和製ヘッジファンドへの投資人気も高まっています。
日本のヘッジファンド市場規模は本場アメリカとは比べ物にならないほど小さいですが、日本の個人投資家でもアクセスしやすいことや、最低投資額のハードルが低めに設定してあることから、一般の人の資産運用先としても徐々に広がっているのです。
ヘッジファンドだからこそ実現できる高利回りとリスクヘッジ
ヘッジファンドは、限られた少数の投資家から資産を集め、高い投資手腕を持つファンドマネージャーが手数料と引き換えに運用を代行し、運用利益を投資家に還元するという仕組みを採っています。

同じくファンドマネージャーに運用を任せられる投資信託と混同されることがありますが、ヘッジファンドと投資信託では以下のような違いがあります。
ヘッジファンド | 投資信託 | |
募集形式 | 50人以下の限られた一部の投資家から出資を受ける私募 | 50人以上の不特定多数の投資家から出資を募る公募 |
投資先 | 伝統的資産の枠を超え幅広い金融商品に投資するオルタナティブブ投資 | 株や債券などの伝統的資産 |
運用手法 | 信用取引やレバレッジの使用など高度で多様な手法を駆使 | 信用取引やレバレッジは基本出来ない |
運用目標 | 市場の良し悪しに関わらず利益を目指す絶対収益 | 市場の指標を上回ることを目標とする相対収益 |
期待運用利回り | 10%以上も期待可能 | 3~5% |
最低投資額 | ※日本のヘッジファンドの場合1000万円~ | 数百円~ |
投資コスト | 高い | 低め |
ヘッジファンドの特徴としてしばしば特筆される点としては、10%を超える高利回りを期待できることが挙げられますが、ヘッジファンドの魅力は高い利回りだけではなく、ボラティリティ(変動リスク)を抑えた安定した運用ができることです。
上の表で示した一つ一つの要素がこれらのヘッジファンドの利点に繋がっています。
まず、私募形式を採用し限られた投資家から資産を預かり運用するヘッジファンドは、投資信託のように金融庁から厳しい投資制限を受けることがないため、高度で多彩な運用手法を使用でき、投資先商品も多岐にわたります。
なかでもヘッジファンドの代表的な投資戦略であるロング・ショートでは、市場の下落局面では空売りで買い入れ(=ショート)、上昇局面では売りを入れる(=ロング)ヘッジファンドならではの投資手法を用います。この手法のために、投資信託では損失を回避できないような下落相場でも、ヘッジファンドは下落相場を逆手にとり、ショートポジションで利益を生みだすのです。
- ロングショート
- マーケットニュートラル
- イベントドリブン
- グローバルマクロ
- マネージドフューチャーズ
- マルチストラテジー 等
これらの柔軟な投資戦略でヘッジファンドはどのような市場環境でも利益を狙う(=絶対収益)ため、必然的に利回りは投資信託よりも高くなりやすいというからくりです。
またヘッジファンド・リサーチ社作成のグローバルヘッジファンド指数によると、2003年3月から2021年12月の225か月間において、リスクを数値化した標準偏差が1.5%だったそう。
日経平均株価に連動するインデックスファンドの多くは標準偏差が17%程ですので、ヘッジファンドがいかにリスクヘッジに長けているかが分かるでしょう。
投資信託の基本的な投資先である株式や債券がリーマンショックを景気に軒並み下落した2008年は、特にヘッジファンドの有効性が際立った年になりました。
日本のヘッジファンドは一般の個人投資家でもアクセスしやすい
限られた少数の投資家から資産を集めるヘッジファンドでは、十分な運用資産を確保するために投資家一人あたりの最低投資額が高くなります。海外の有名なヘッジファンドだと億単位は当たり前。日本の個人投資家が出資するのは容易ではありません。
一方で日本の私募ヘッジファンドの場合は、最低投資額が1000万円〜と個人でも比較的投資しやすいのが特徴です。
日本のおすすめヘッジファンドランキング
日本国内のヘッジファンドは、最低投資額が抑えられていることや、連絡に時差がないこと、英語で投資契約を結んだり関連情報を把握する必要がないことから、日本国内の一般の投資家の方でも投資先の選択肢として検討しやすいでしょう。
この章では参考として、以下の4点を基準に選定した日本のヘッジファンドをランキングでご紹介します。
- 収益性(過去の運用成績)
- 安定性(投資手法と運用者)
- 投資ハードルの低さ
- 情報の多さ(口コミ評判)
1位:バリュー株投資で安定運用「BMキャピタル」
(引用:BMキャピタル)
収益性 ★★★ | ・過去運用成績がマイナスになった年なし ・平均年金利回り10%以上 |
安定性 ★★☆ | ・2013年設立の11年目 ・ファンドマネージャーは東京大学卒、英国投資銀行バークレイズ出身 ・日本株へのバリュー株投資でリスクを抑えた運用+アクティビスト戦略 |
投資ハードル ★★★ | ・1000万円~(特定の条件下で1000万円以下で出資か可能な場合もあり) ・出資前に面談で顔を合わせて話を聞くことができる ・ロックアップ期間は比較的短い3か月 |
情報の多さ ★★☆ | ・運用11年目で比較的口コミ評判を探しやすい ・問い合わせをすると運用に関する詳細な情報を得られる ・出資後は四半期に一度分かりやすい運用レポートが発行される |
東大卒・有名投資銀行バークレイズ出身のファンドマネージャーが運用するBMキャピタル。年平均10%の高利回りと、マイナスを出さないことに重点を置いた堅実な運用が人気を集めています。
投資対象は日本株で、中でも投資の神様ウォーレン・バフェットも推奨するバリュー株へ投資を中心とした運用を行います。ファンドマネージャーは投資先企業の選定能力に定評があり、ご本人が足繫く企業に出向き調査して選定を行うそうです。
市場での価値(株価)が、利益や純資産などから評価した企業価値よりも低く評価されている割安な銘柄に投資し、企業本来の価値まで株価が上昇した時に売却して利益を得る手法。
BMキャピタルのファンドマネージャーが崇拝するウォーレン・バフェットの言葉のように、「減らさないことを第一に考えた運用」を軸とし、月間でマイナスになることはあっても、年単位では一度もマイナスを出さない運用を続けています。
BMキャピタルも一般的なヘッジファンドと相違なく、一般に広く情報公開はしていませんが、お問い合わせをすれば過去の運用成績や投資先などの詳細な情報の提供を受けることができます。
1000万円クラスの資産を中長期目線で運用したい方、高額資産の運用方法に困っている方、初めてのヘッジファンド投資にチャレンジしてみたい方、日本株へ分散投資したい方などは一度お話を聞いてみるとよいでしょう。
BMキャピタルに関する詳細記事はこちらをご覧ください。
2位:アクティビストの先駆者「ストラテジックキャピタル」
(引用:ストラテジックキャピタル)
収益性 ★★☆ | ・利回りは、マイナス23%~プラス76% ・ボラティリティの大きさが懸念 |
安定性 ★★★ | ・2012年設立の12年目で金融商品取引業者にも登録している ・東京大学卒、旧村上ファンドの創設者の一人である丸木氏が設立 ・日本株を中心としたバリュー株投資+アクティビスト戦略 |
投資ハードル ★☆☆ | ・10万ドル~(2023年8月21日付けのレートで約1460万円) ・金融資産を5000万円以上保有している人 ・3年以上の投資経験があること ・ロックアップ期間は長めの1年 ・1年を超えると四半期に1度解約可能 |
情報の多さ ★★★ | ・資料は英文で提供される ・HP内で現在の投資銘柄やアクティビストとしての活動の内容が確認できるなど情報公開量が多い |
「旧村上ファンド」の創業メンバーであった丸木強氏が率いるストラテジックキャピタルも、1位のBMキャピタルと同じく日本バリュー株投資が中心。企業の資産や財務状況から株価の割高度合い・割安度合いを判断するPBR(Price Book-Value Ratio)が1を下回る「割安」な企業の株を買い付けます。
日本のアクティビスト戦略の先駆者とも言える丸木氏が設立しただけあり、ストラテジックキャピタルも積極的なアクティビスト戦略を展開。企業側に友好的な対話姿勢を採ることもあれば、TOB(株式公開買付け)などの強硬手段を使うことも多く、ニュースなどで同社や同社が行った株主提案などについての情報も流れてきます。
アクティビスト=活動家、実践主義者という意味で、いわゆる「モノ言う株主」。投資した企業の経営陣に対して、経営改善を促したり、株主還元をより積極的に行うように働きかけます。
そんなストラテジックキャピタルの運用成績はマイナス23%〜プラス76%となっており、良い年は良いものの、ボラティリティが非常に大きいのは不安材料でもあります。このパフォーマンスのぶれを理解するためにも、ストラテジックキャピタルへの投資を検討する際には、同社のリスクヘッジ対策について詳細に確認する必要があるでしょう。
ストラテジックキャピタルに投資をするには、販売会社であるTeneo Partnets株式会社を通して出資します。出資に関する手順や運用状況などについては同社(e-mail: info@teneopartners.co.jp)に確認をされてみてください。
3位:成長市場で利益獲得の機会を狙う「オリエントマネジメント」

(引用:オリエントマネジメント)
収益性 ★★☆ | ・成長率の高い中国株式市場に投資 ・2021年10月の組成から1年間の通算利回りは約8.2% (※同期間の上海総合指数はマイナス約12%) |
安定性 ★★☆ | ・2021年10月に運用を開始した新生ファンド ・成長率の高い中国株式市場に投資 ・ファンドマネージャーは別の新興国ファンドの運用で+886%の実績 (※年率にすると+114%) |
投資ハードル ★★★ | ・1000万円~(1000万円以下の出資は相談) ・出資前に面談で顔を合わせて話を聞くことができる ・ロックアップ期間は比較的短い3か月 ・毎月、四半期、半年、毎年など任意のタイミングでの積立投資が可能 |
情報の多さ ★☆☆ | ・組成間もないため口コミ評判は多くない ・問い合わせをすると運用に関する詳細な情報を得られる ・出資後は四半期に一度日本語で運用レポートが発行される |
オリエントマネジメントは中国株式市場に投資をする日本のヘッジファンドです。
急成長を遂げてきた中国株式市場は2020年以降、米中貿易摩擦、不動産業界の不況、習近平国家主席の権限強化などのマイナス要因により一時大きく下落したものの2023年は再び回復の見込みが見えています。
中国株式市場の時価総額はすでに日本の株式市場の3倍で、新規上場数が多い、日本と比較して高配当な株式銘柄が多い、株式収益率が高いなど利益獲得の機会が豊富な市場でもあります。
オリエントマネジメントは、そんな高配当であるにも関わらず割安に放置されている株式を探し出し、株価の上昇タイミングで売却して利益を上げています。
同ヘッジファンドは2021年10月組成と運用歴がまだ短いものの、組成から1年間の通算利回りは約8.2%。同期間中はFRB(米連邦準備制度理事会)の金融引き締め加速や、ゼロコロナ政策による上海のロックダウン、米中貿易摩擦などの影響を受け、上海総合指数がマイナス12%と低迷するなか、オリエントマネジメントは8.2%の利益を上げており、その健闘は十分に評価できるでしょう。
中国の中央銀行であるPBOC(中国人民銀行)は2023年6月にも金利引き下げによる金融緩和を行っており、中国株式市場には追い風となる環境にあります。
手堅い日本株式市場や米国株式市場の他に、成長率の高い新興国株式市場にも分散投資したいという方はオリエントマネジメントに話を聞いてみるとよいでしょう。
オリエントマネジメントのホームページでは、中国株式の魅力についてより詳しく解説されています。
4位:日本最大級の独立系運用会社「ベイビューアセットマネジメント」
(引用:ベイビュー・アセット・マネジメント)
収益性 ★★☆ | ・ファンドによって運用成績やリスクは異なる ・年利10%程度を目指した運用だが、マイナスの出ている年もある ・運用成績は一般には非公開(問い合わせ要) ・償還済みの「Bayview日本株式ロングショート」は設定来0.46% |
安定性 ★★★ | ・1998年設立で金融商品取引業者にも登録している ・自社運用商品~海外他社運用商品まで多彩な商品を取りそろえている |
投資ハードル ★★☆ | ・投資家の大半は機関投資家 ・1000万円~(1000万円単位) ・出資するには投資適格性の確認のため対談で面談が必要 |
情報の多さ ★★☆ | ・機関投資家が大半を占めるため、個人投資家の口コミ評判は多くない ・各ファンド商品の運用者や運用方針についてはホームページで公開 |
ベイビュー・アセット・マネジメントは日本株式・債券などを対象とした自社運用商品に加え、提携の海外籍の運用会社が運用する海外株式や債券、プライベートアセットを対象とした商品も取り扱う「マルチ・ブティック型運用会社」です。

ベイビュー・アセット・マネジメントの運用商品一覧 ※下記クリックで表示されます。
株式
ロング | ・★厳選日本中小型株式(現在新規の買付停止中) ・厳選米国中小型成長株式 ・USバイオ・ベンチャー(2018年2月募集終了) ・厳選米国バリューアップ株式 ・厳選米国小型バリューアップ株式 ・USマイクロキャップ株式 |
ロング・ショート | ・★Bayview日本株ロングショート(2021年11月償還) ・★ニュー・アルフェックス ロングショート |
スマートベータ | ・日本高配当株式ボラティリティ・ウェイト ・米国高配当株式ボラティリティ・ウェイト ・米国配当アクセラレーター ・★Victory/AAA日本高配当株式ダイナミックヘッジ ・★Victory/AAA米国高配当株式ダイナミックヘッジ |
債券
ロング | ・米国政府機関保証短期債券 |
ロング・ショート | ・Victory 米国地方債 |
金利上昇リスク対応 | ・★欧州国債ロング・ショート ・★米国長期国債インカム(金利上昇リスク対応型) |
マルチ・アセット
アクティブ・アセット・アロケーション | ・★アクティブ・アセット・アロケーション(AAA) |
キャッシュ・マネジメント | ・★キャッシュ・マネジメント |
プライベート・アセット
クロスオーバー | ・Crosslink Crossover シリーズ(現在新規の買付停止中) |
ベンチャーキャピタル | ・Crosslink Venturesシリーズ(現在新規の買付停止中) ・GoAhead Ventureシリーズ |
ファンド・オブ・ファンズ | ・Horsley Bridge Venture シリーズ ・Horsley Bridge Growth Buyout シリーズ |
サプライチェーンファイナンス | ・Siegfried Supply Chain Financeシリーズ |
同社は20年以上の運用歴があり、契約資産残高は7400億円と日本最大級の独立系運用会社でもあります。
豊富な運用経験と多彩な商品ラインナップが魅力の同社ですが、各ファンド全ての運用利回り(目標は年利10%程度)は一般には公開されておらず、また顧客における個人投資家の割合が少ないことから、詳細情報を知るには問い合わせが必要です。
例えば償還済みでパフォーマンスが公表されている「Bayview日本株ロングショート」ファンドは2013年~2021年の9年間の年率が0.46%、また2018年に募集の終了したUSバイオ・ベンチャーは現時点で設定来の年率がー2.18%となっており、非常に苦しい運用であったことが分かります。
一方、USマイクロキャップ株式ファンドは年によってボラティリティが大きいですが、設定来の年率は11.9%と長期的には好調な成績を残しています。
このようにヘッジファンドによって運用利益は様々ですから、海外ヘッジファンドの出資に挑戦してみたい方、20年の運用歴のある大手運用会社に資産を預けてみたいという方は、各ファンドの利回りや投資額について問い合わせしてみてください。
(まとめ) 日本のおすすめヘッジファンド比較一覧
日本国内のおすすめヘッジファンドのランキングで比較したポイントを一覧表でおさらいします。
1位:BMキャピタル | キャピタル | 2位:ストラテジックマネジメント | 3位:オリエントアセット・マネジメント | 4位:ベイビュー・|
収益性 | ★★★ | ★★☆ | ★★☆ | ★☆☆ |
安定性 | ★★☆ | ★★★ | ★★☆ | ★★★ |
投資しやすさ | ★★★ | ★☆☆ | ★★★ | ★★☆ |
情報の多さ | ★★☆ | ★★★ | ★☆☆ | ★★☆ |
お問い合わせ | 公式HP | 公式HP | 公式HP | 公式HP |
いずれにせよ私募系ヘッジファンドを検討する際には、問い合わせして正確な情報を入手することが大切です。ヘッジファンド側からいただいた情報を元に、自分でも周辺情報について調査を行い出資判断をするようにしましょう。
日本のヘッジファンド投資で注意するべきこと
これまでの内容から、海外ヘッジファンドよりも身近で、高利回りを期待できる日本のヘッジファンドへの出資を具体的に検討したいと思われた方もいらっしゃるでしょう。
しかし、これまで日本の人々にとってヘッジファンドは馴染みが薄かっただけに、情報不足や認識の間違いからトラブルになることも少なくありません。
そこでここでは、ヘッジファンド投資を始める前に認識しておくべきことを4つお話します。
手数料はそれなりに掛かることを理解する
ヘッジファンドによって手数料率は異なりますが、一般的には成功報酬20%、信託報酬は2%であることが多いです。投資信託の信託報酬は年0.5%~2%ですのでこちらには際立った違いはありませんが、成功報酬の20%はかなりのまとまった額になります。
ただしヘッジファンドの成功報酬は、運用で利益が出た場合にのみ運用益に対してかかるため、運用成績がマイナスとなっている場合には発生しないものです。
またこの成功報酬はインセンティブとしてヘッジファンドのファンドマネージャーの年収に直結するため、運用に熱が入りやすくヘッジファンドの高い運用利回りに繋がっているとも言われています。
日本のヘッジファンドに投資をする際には、問い合わせの際に手数料体系をしっかり確認してください。過去の運用成績を参考に成功報酬や信託報酬を払ったのちにいくら利益が残るかを想定し、ご自身の資産の増え方をシミュレーションしておくと良いでしょう。
長期運用を前提として預ける
前提として、ヘッジファンドは比較的長期で利益を狙う戦略を採用する場合が多いです。
短期投資で利益を上げようとすると、高いレバレッジを使用したり、ボラティリティの大きい市場への投資が必要となるため、高額資産の運用には特に高いリスクが伴います。FXのデイトレーディングのように短期間で資産を増やしたいと考えている人には不向きだということを理解しておきましょう。
また、投資家一人当たりの最低投資額が高額になるヘッジファンドでは、頻繁な解約による運用資産の増減を避けるため、解約や換金のタイミングは四半期に一度などと制限がかけられています。投資信託のように好きなタイミングで換金できるわけではないため、長期的な資産運用計画のもとでヘッジファンドに出資する必要があります。
リスクを抑えた安全なファンドに投資する
安全なヘッジファンドの定義としては、投資先や運用手法の危険性が低く運用成績が安定しているファンド、運用の実態・実績があり詐欺の危険性が低いファンドの2点が挙げられます。
ヘッジファンドは一般的に運用についての情報公開義務がないことや、情報開示により運用手法を真似・妨害されることを防ぐ目的で詳細情報の公表を避けることから、その実態を明確に把握するのは容易ではありません。
そのためヘッジファンド投資をする際には、以下を徹底的に行って安全なヘッジファンドを見極めることが大切です。
- ヘッジファンドの仕組みを十分に理解する
- インターネット上で関連の情報(SNSなどの口コミ評判も含む)を調査する
- ヘッジファンド側へ問い合わせて、詳細な運用情報を確認する
- 得た運用情報が投資先の相場と大きな乖離がないか自分でも調査する
- 実際に面談してリスク管理の方法や契約・手数料・解約タイミングなどを確認する
投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット(Wallen Buffet)も以下のような言葉を残しています。
気になるファンドや投資先候補が決まったら、まずはファンド側と面談をしてより詳しいデータを収集したうえで投資するかどうか時間をかけてじっくり検討すると良いでしょう。

ヘッジファンドに日本で投資するには
上記で紹介した方法以外にも、日本国内でヘッジファンドに投資する方法はあります。
ここでは最後に、日本でヘッジファンドに投資する3つの方法をご紹介します。
私募ファンドに直接問い合わせをする
まず一つ目は上でも紹介した「私募ヘッジファンドに直接問い合わせする」方法。
基本的な投資の流れとしては、
1. ホームページから問い合わせして、資料請求や面談申請を行う
2. 対面やズームなど面談を行い、情報のヒアリングを行う
3. ヘッジファンド側の運用方針やパフォーマンスに納得できれば、出資契約を行う
4. 指定口座に入金
プライベートバンクの投資一任サービスを通して購入する
プライベートバンクとは一定以上の資産を有する富裕層に対して、資産の全般的な管理サービスを提供する機関です。
日本でプライベートバンクサービスを提供する金融機関としては、クレディ・スイス証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、UBS証券、野村證券などが有名です。
プライベートバンクでは、資産運用、税務関連のアドバイス、資産継承コンサル、高級所用品のオークション代理などのサービスの他に、投資一任勘定の中で海外ヘッジファンドへの投資も可能です。
日本のヘッジファンドよりも規模の大きい海外ヘッジファンドにアクセスできるメリットがある一方で、日本のプライベートバンク利用の相場は5000万円程から。またプライベートバンクはコミッション契約のあるヘッジファンドを中心に薦めてくる場合もあるためポジショントークにも注意が必要でしょう。
投資助言会社を通して購入する
日本でヘッジファンドを紹介してくれる投資助言会社としては、ヘッジファンドダイレクトなどが有名です。
投資助言会社から実績のある海外ヘッジファンドへのアドバイスを受け、投資自体は直接顧客が行います。
最低投資額は選ぶヘッジファンドによって変わりますが、相場は15万ドル(2023年8月21日現在のレートで約2185万円)程です。
また投資助言会社を通してヘッジファンドに投資する際は以下のような手数料が発生しますので、投資助言会社を通してのヘッジファンド投資に関心のある方は会社に詳細を確認してみてください。
- 投資助言料(初年度・2年目以降~)
- 行政書士費用
- 海外送金手数料
- ヘッジファンドの管理報酬・成功報酬
- 解約手数料
いずれの方法にも一長一短ありますので、あなたの資産状況や運用方針に合う投資方法を探すことです。
日本のヘッジファンドランキングまとめ
本記事で、ヘッジファンドの概要や市場規模、日本で投資できるおすすめヘッジファンドランキング、投資における注意点などを解説しました。
もちろんご自身の投資戦略や投資金額などによってどんなヘッジファンドが適しているかは変わってきますので、本記事でご紹介した情報を参考にご自身でも調査の上よりヘッジファンドへの知識を深めてみてください。
繰り返しになりますが、ヘッジファンドはネットで手に入れられる情報が限定的という特性があるため、気になるファンドや投資先候補が決まったら、まずはヘッジファンド側と面談をしてより詳しいデータを収集したうえで、投資するかどうか時間をかけてじっくり検討すると良いでしょう。