腕利きの資産運用会社「ヘッジファンド」は損失を出すこともあります。どんな投資主体であれ、相場の方向を完全に予測することは不可能です。
ただヘッジファンドが損失を出す確率は、通常の資産運用会社と比べて圧倒的に低い。
なぜならヘッジファンドは、VaR(バリューアットリスク)や期待ショートフォールなどの指標を用いた数学的なリスク管理を徹底しており、他の資産運用会社よりもリスク管理の質が優れているからです。
そのためヘッジファンドが損失を出す場合は、ごくまれに起こるイベント(例:スイスフランショック)が原因となります。つまりこれからヘッジファンドへの投資を考えている方は、どのような場合にヘッジファンドはこれまで損失を出してきたのかを知ることで、上手く資産運用が出来るということですよね。
そこで今回は過去にヘッジファンドが損失を出した事例を紹介するとともに、損失が出た場合の解約方法・今後のヘッジファンド動向を解説していきます!
2017年から再び利益を着々と積み上げているヘッジファンドに投資するには最適な時期。今後の資産運用にはぜひとも取り入れていきたいですよね。
ではまずヘッジファンドが過去に損失を出した事例を紹介していきたいと思います。
ヘッジファンドが大損?損失を出した事例を紹介
ではヘッジファンドが過去に損失を出した事例を紹介していきます。過去にヘッジファンドが大損を出した事例を振り返ることで、今後あなたがいつポートフォリオを変更すればよいかなどは自然と見えてきますよ。
ジョージ・ソロスのトランプ相場
ジョージ・ソロスはヘッジファンドマネージャーの中でもトップクラスの知名度を誇ります。彼は2017年時点で総資産額約252億ドルを保有しており、世界長者番付でも29位につけています。そんな彼が世界的に有名になったのが1992年の「ポンド危機」。
彼はこの出来事を経て「イングランド銀行を潰した男」と呼ばれています。
彼は「市場は常に間違っている」という考えを持っており、当時割高であったイギリス通貨ポンドに対して100億ドル(1兆2000億円)相当の空売りを実行しました。
この巨額の売りに対してイギリス銀行はポンドの買い支えを行ったものの止めることは出来ず、ソロスはこの危機で10億ドル(1200億円)以上の利益を上げたと言われています。
そんなわけで巨額の資産を築いたソロスですが、彼は2016年のトランプ相場で巨額の損失を被りました。彼がトランプ相場で被った損失の額はなんと1140億円と言われています。ではなぜこれほどの損失を出したのかを解説します。
当時の市場で予測すべきポイントは主に2つあり、それは
- アメリカ大統領になるのはクリントン氏かトランプ氏か
- 株価は上がるか下がるか
でした。結果的には「トランプ氏が大統領になり、株価は上がった」という形になりました。トランプ氏は減税政策を前面に打ち出していたので、企業が資金を本国に戻す動きが加速するだろうという見方から株価は上昇しました。
ただソロス氏は「クリントン氏が大統領になり、株価は下がる」という予想をしていました。この予測は見事に外れ、彼は1140億円もの損失を被ったというわけです。
このように世界金融の中心であるアメリカの大統領選挙は、投資において注目すべきイベントです。これから当分はトランプ氏がアメリカの大統領に君臨しますが、彼がどのような政策を行うかによって相場は大きく動くと思われます。今後の資産運用ではまずこの点を頭に入れておくと良いでしょう。
では次に多くのヘッジファンドが多額の損失を出したイベント「スイスフランショック」について見ていきましょう。
スイスフランショックで為替相場急騰
スイスフランショックとは、2015年1月にスイスの中央銀行が自国通貨フランの対ユーロ上限を廃止すると発表したことが原因となりフランの価値が急騰した出来事を指します。いまいちイメージがつかないと思いますので、詳しく見ていきます。
当時スイスの通貨フランは、ヨーロッパの通貨ユーロに対する価格の上限が決まっていました。1ユーロ=1.2スイスフランという上限を定めることで、それ以上の価格上昇を防ぐということが行われていました。
それまで1ユーロ=1.2フランで価格が推移しており、それ以上の価格上昇はないと考えると、下がることを予測する「売り」のポジションを持つことが正しいですよね。個人投資家に限らず、多くのヘッジファンドも同様のポジションを持っていました。
ただ2015年1月にスイスの中央銀行がこの上限を撤廃すると発表したことにより、スイスフランの価格は急騰し、空売りを仕掛けていた多くのヘッジファンドが巨額の損失を被りました。
ちなみにエベレストキャピタルというヘッジファンドは、運用総額約3分の1の損失を計上したと言われています。
このように為替相場の動向は、ヘッジファンドの利益・損失に大きな影響を及ぼします。直近のEU離脱でもドル円が100円を切ったことでヘッジファンドは明暗を分けています。資産運用の中でも為替相場の動向は随時チェックしていく必要がありますね。
ではもう1つヘッジファンドに損失を与えた直近の出来事「チャイナショック」を紹介します。
チャイナショックによる世界同時株安
チャイナショックは、2015年に起きた世界同時株安の出来事を指します。このショックは中国株の暴落が発端となったものであり、背景には中国経済の減速懸念がありました。
それまでの中国は急速に成長しており、2011年にGDP世界2位の大国となって以降も目覚ましい成長を遂げていました。そのため中国の個人投資家も株式投資を積極に行い、中国市場の8割を個人投資家が占めていました。
ただ2015年6月に予期せぬ発表がありました。それは
という予測でした。それまで平均8%ほどの成長を見せていた中国のGDPが減速しそうだとの見方が出てきたのです。
またこれと同時に当時の中国株式市場はバブル状態。
中国の株式指数は、2014年から1年足らずで200%もの上昇を記録していたのです。これを受けて中国当局は規制強化に動き出し、バブル崩壊を防ごうと試みました。
その結果、中国の個人投資家たちが「売り」を行い始めたことで中国株は1か月の間に30%ほど下落しました。この動きにつられるように世界的にも株安が引き起こされ、世界同時株安となったのです。
このチャイナショックにより、2015年のヘッジファンドの業績は2008年のリーマンショック以来最悪の数字を記録しています。
以上がヘッジファンドに損失を招いた「チャイナショック」になります。中国やインドをはじめとする新興国は、今後投資資金がさらに集中すると予測されるので、新興国の動向にはぜひともチェックしていきたいですね。
ここまでヘッジファンドが損失を出した主な事例について紹介してきましたが、仮に投資先のヘッジファンドが損失を出していたらどう解約すればよいのかは気になりますよね。そこで次はヘッジファンドとの契約を解約する手順を紹介します!
解約する場合のステップを紹介
ヘッジファンドを解約する場合には押さえておくべきポイントが3つあります。まずはヘッジファンドの解約期限を示す「45日ルール」から押さえていきましょう。
解約期限「45日ルール」とは?
45日ルールは「ヘッジファンドとの契約を解除するためには、ファンド決算の45日前までに申請しなければならない」というルールです。「ファンドの決算」と言われてもいまいちピンと来ないですよね。以下で説明していきます。
ヘッジファンドは顧客に対して運用成績などを報告する「決算」を行います。通常日本の企業の決算時期は3,6,9,12月の年4回行われていますが、ヘッジファンドの決算時期は6月と12月です。
つまり、5月もしくは11月中にヘッジファンドとの契約を解消する申請を行う必要があるというわけです。
この45日ルールは多くのヘッジファンドが採用しています。そのため投資先のヘッジファンドが損失を被っており、解約したい場合はこの45日ルールを基に解約申請を行うと良いでしょう。
では次にヘッジファンドの解約時に気を付けるべき3つのポイントを紹介します。
解約時に見るべき3つのポイント
ヘッジファンドとの契約を解約するときには以下の3つのポイントに注目すると良いでしょう。
- 解約方針
- 現状の成績(例:損失の大きさ、利益額等)
- 今後の運用方針(例:運用戦略の変更はあるか)
では1つずつ見ていきましょう。
解約方針を確認する
解約方針とは、ヘッジファンドとの契約を解消する方法のことを指します。もちろんヘッジファンドに直接問い合わせて解約を申し出ることで、契約を解消することは出来ます。ただその場合、解約するかどうかの判断は全てあなた自身で決める必要があります。
ヘッジファンドはどんな相場でもリターンを追求する運用会社。仮にある時期に損失を出していても、来期にその損失を補うほどのリターンを出している可能性は十分あります。
つまり「次は上がるかもしれない」のような感情に振り回され、投資し続けるかの判断に恐らく迷いが生じると思います。
このような感情に振り回されないための手段として「定量的判断」が有効です。これは数値を基にした機械的な判断であり、感情を一切受け付けないものになります。
その例として「ストップロスルール」があります。これは「投資先のヘッジファンドがある一定額以上の損失を出した場合、そのヘッジファンドへの投資を止める」というものです。投資において必要となる「損切り」をヘッジファンド投資でも利用できるというわけです。
この他にも「損失の額に応じて投資資金を減らす」などのルールがあります。この解約方針は各ヘッジファンドで異なりますので、一度確認しておくと良いでしょう。
現状の成績
投資先のヘッジファンドとの契約を解消するかを決める時にはまず「成績」を見ますよね。預けた資産がいくら増えたのか、損失額はどれほどかは誰しも気になります。
そこで気を付けたいのが「目標資産額との差」です。つまり「現状の成績であなたが目指す資産額に到達することはできるか」を確かめる必要があるということです。これは契約解消時に限らず、資産運用において最重要ポイントの1つなので今後も注目していきましょう。
今後の運用方針
最後ポイントは「今後の運用方針」です。これは「今後運用戦略に変更があるか」を指し、ヘッジファンド投資には必見のポイントです。具体的な例を以下で紹介します。
過去に「LTCM」と呼ばれるヘッジファンドがあり、この会社は債券を使った裁定取引を得意としていました。つまり割高な債券をショート・割安な債券をロング(買い)というポジションを持つという戦略であり、平均利回り40%などの好成績を収めることに成功していました。
ただLTCMはその後株式やMBS(住宅ローンを担保とする証券)など様々な投資商品にも手を出していきます。しかしその後アジアの通貨危機やロシア危機により、LTCMは巨額の損失を被り破綻に追い込まれました。
このようにヘッジファンドが運用戦略を変更した場合、その運用戦略が市場に適合しているのかどうかを判断する必要があります。運用戦略によりリターンや損失の額はかなり変化するので、ヘッジファンド投資ではこの点に注目する必要があります。
以上がヘッジファンドとの契約を解消する時に見るべきポイントとなります。どんな投資であれ出口戦略はとても重要です。ヘッジファンド投資でも以上のポイントに注目すると良いでしょう。
ここまでヘッジファンドの損失に注目してきましたが、2017年のヘッジファンドの運用成績は改善しており、その背景には世界的な株高が主にあります。そこで最後に今後のヘッジファンドの動向やおすすめのヘッジファンドを見ていきましょう!
ヘッジファンドの今後の動向について
2015,16年のヘッジファンドは損失を記録するなど運用成績に陰りが見え、特に2016年ヘッジファンドのリターンを表す指数はアメリカのS&P500種株価指数の上昇率の半分以下にとどまりました。
そのため投資家たちはヘッジファンドよりもコストの低い「パッシブ運用型」投資信託に資金を移していますので、それについて詳しく見ていきましょう。
最近は指数に連動するパッシブ運用が主流
パッシブ運用とは、運用成績がベンチマークとなる指数に連動するように収益を追求する運用スタイルです。先述の通りベンチマークは「運用目標の目安となる指数」であり、パッシブ運用ではそのベンチマークと同じ成績を出すことを目標としているわけです。
例えばベンチマークに日経平均を採用している場合、日経平均が5%上昇した時はパッシブ運用型の投資信託も5%の利益を上げます。逆に日経平均が5%下落した場合はパッシブ運用型投資信託も5%の損失を計上するというわけです。
このようにベンチマークとなる指数と同じ動きを狙うパッシブ運用型投資信託の最大メリットは「コストの低さ」です。その理由には「運用に手間がかからない」ことが挙げられます。
ベンチマークとなる指数は複数の銘柄を組み合わせて算出されています。日経平均の場合は、東証1部に上場している225の銘柄を組み合わせて価格が算出されています。
つまりこのような指数と同じ成績を出すには「指数に組み込まれている銘柄に投資すればよい」わけです。そのため「銘柄の選択」が比較的簡単に済み、コストを低く抑えることができます。
なのでこのパッシブ運用型投資信託には近年多くの投資家が資金をつぎ込んでいます。特に2017年は日経平均が25年ぶりの高値水準に達するなど、ベンチマークとなる指数自体が記録的な上昇率を遂げていたため、パッシブ運用型投資信託でも大きなリターンを得ています。
ただこのパッシブ運用の人気が高まるにつれて実は、ヘッジファンドに大きなチャンスが到来しています。その点について詳しく見ていきましょう!
今後はヘッジファンドにチャンスが存在
パッシブ運用への資金流入の加速は、ヘッジファンドにとって追い風となっています。その理由は「知名度の低い銘柄の価格を自由に調整できる」からです。
パッシブ運用が人気を高めることは、ベンチマークとなる指数に込みこまれている銘柄により注目が集まることを意味します。なぜならパッシブ運用は指数に連動する運用成績を目標とするため、人気が高まるにつれて日経平均などの指数に組み込まれている銘柄への投資がさらに加速するからです。
ただこれは言い換えると「指数に組み込まれていない、知名度の低い銘柄への注目度が下がる」ことを意味します。そのためヘッジファンドはそのような銘柄に投資することで、自ら株価を引き上げることが出来るというわけです。
以上の事実を踏まえると、コストの低いパッシブ運用への人気は今後も続く可能性が高いので、ヘッジファンドが収益を上げる機会はさらに増えていくことになります。これからの資産運用にヘッジファンドを取り入れるには最適の時期だというわけです。
そこで最後に私がおすすめする国内ヘッジファンド「BMキャピタル」を紹介します!
おすすめのヘッジファンド「BMキャピタル」
「BMキャピタル」は国内に拠点を置くヘッジファンドです。なぜ「BMキャピタル」がおすすめかというと以下の理由があります。
- 個人投資家が投資可能
- 安全性が高く、過去にマイナスの運用成績はゼロ
まず何といってもBMキャピタルは「マイナスを出さない」という方針のもと運営を行っており、実際に過去の運用成績においてマイナスを出した年はゼロ。
そのうえ10%のリターンを記録しているので、とても安全性の高いヘッジファンドだと言えますね。
またチームは東京大学や京都大学といった超エリート大学卒のメンバーで構成されており、それぞれの金融業界における経験やノウハウによって高い分析能力を持っています。
こうした理由から、特にこれからヘッジファンドに投資してみようと考えている方にはおすすめのファンドだと言えますね。
BMキャピタルについてのより詳しい解説が知りたい方は、以下の記事をご確認ください。
では最後にここまで説明した、ヘッジファンドの損失などについての内容をまとめます。
ヘッジファンドの大損事例や解約についてのまとめ
まずヘッジファンドは腕利きの資産運用会社であり、めったに損失を計上しません。ただその中でもヘッジファンドが損失を出した主な事例は、
- ジョージ・ソロス氏がトランプ相場で1140億円の損失を計上
- 2015年のスイスフランショックで多くのヘッジファンドが損失を計上
- 2015年のチャイナショックによる世界同時株安からヘッジファンドが損失を記録
があります。2015年のヘッジファンドは、リーマンショック以来最悪の成績を記録していますが、それ以降、特に2017年のヘッジファンドの成績は改善しています。今後もヘッジファンドの成績は上昇基調が見込まれるため、ぜひ資産運用に取り入れていきましょう!
そして仮に投資先のヘッジファンドが損失を計上し、契約を解消した場合は以下の3つのポイントを押さえると良いでしょう。
- 解約方針
- 現状の成績(例:損失の大きさ、利益額等)
- 今後の運用方針(例:運用戦略の変更はあるか)
ヘッジファンドとの契約を解消する期限「45日ルール」についても改めて確認しておくと良いでしょう。
最後に今後ヘッジファンドにはさらなる収益機会があります。なぜならベンチマークとなる指数に連動するパッシブ運用への人気が高まっていることから、ヘッジファンドは市場の注目が比較的小さい銘柄に投資し、株価を自ら引き上げることが出来るからです。
そしておすすめのヘッジファンドは「BMキャピタル」です。マイナスを出さずに10%のリターンを出してくれる点はかなり有難いですよね。
これからの資産運用にぜひとも取り入れていきたいところです。
ではヘッジファンドが損失を出す事例から、今後の資産運用の中でポートフォリオの変更を迫られる場面を押さえ、ヘッジファンドへの投資を始めていきましょう!