ヘッジファンドが注目を浴びるようになったのは1990年代初頭のポンド危機の時。
しかし購入方法は謎に包まれており、証券会社の公式HPを眺めてもヘッジファンドの購入方法は紹介されていません。
では、どうすればヘッジファンドの購入窓口にアクセスできるのでしょうか?
この記事ではこのような疑問にお答えすると同時に、ヘッジファンドの期待収益やリスクについても紹介していきます!
ヘッジファンドの購入方法はあまり知られていない
投資信託ならWEBで証券口座を開設して、後はスマホでサクッと購入できます。
しかしヘッジファンドの場合は、金融商品取引法で認められた商品ではないため、証券会社や銀行は原則として購入を仲介できません。
海外に証券口座・銀行口座を開設して、直接ヘッジファンドに申し込む方法もありますが、現地の銀行担当者とやり取りできる語学力と相応の金融知識、さらに名門ヘッジファンドの堅い扉をこじ開ける人的ネットワークが必須です。
ではどのようにしてヘッジファンドを購入すればいいのでしょうか?
ヘッジファンドの買い方
ヘッジファンドの買い方は海外の銀行・証券会社に口座を開設し、そこから購入するか、日本に支社のあるプライベートバンクを利用するかのどちらかが基本です。
またヘッジファンドに直接連絡をして、金融機関を通さずに投資するという選択肢もあります。
直接投資する場合、金融機関に支払う手数料を節約できるので、個人的にはこれを推奨します。
ただし、ヘッジファンドは誰でも購入できるわけではなく、必ず最低投資額が設けられている点にご注意を。
たとえば当サイトで最も人気があるBMキャピタルであれば、最低投資額が1,000万円からとなっており、ある程度の余裕資金がないと購入することはできません。
とはいえファンドマネージャーの実績は充分であることはもちろん、2013年から約7年続く運用実績など、ヘッジファンドとしては魅力が多いのも事実です。
ヘッジファンド専門の証券会社もある
ヘッジファンドは長い間、富裕層や機関投資家にしか門戸を開いていませんでした。
それでも一部の証券会社がヘッジファンドに連動して利益をあげるファンドを販売するようになっています。
中でも「ヘッジファンド証券」は、ヘッジファンドを専門に扱う証券会社として知られています。
ヘッジファンドの投資対象は?
投資信託は株や国債・社債などで運用しますが、ヘッジファンドの場合はデリバティブ全般に対しても投資します。
「デリバティブ」とは株などを単にそのときの時価で取引するだけでなく、将来売買することを先に約束する取引(先物取引)や、将来売買する権利を先に売買する取引(オプション取引)などを複雑に組み合わせた多様な取引を行うものです。
こうした対象に投資するヘッジファンドですが、具体的にはどういった手法で投資するのでしょうか?
ロングショート
一般的な投資信託は、基本的に「買い」からしか入りません。
しかしヘッジファンドは「売り」からでも利益を出すことができます。
このように、買い(ロング)と売り(ショート)を組み合わせることでリスクヘッジする手法をロングショートといいます。
ロングとショート両方のポジションをとることで、損失を最小にすることができる点と、相場全体が下げの傾向があるときは、大量に「空売り」することで収益を効率的に出すことができるのです。
証券会社などから株を借りてきて売り、買い戻して利益を得る取引。
たとえば、証券会社からA株を1株100円で借りてくるとしましょう。
借りてきたと同時にA株を100株売却します。
この時点で利益は10,000円。
→100円×100株
その後A株が1株80円になったとします。
証券会社から借りているA株は100株なので、100株返さなければなりません。
そこでA株100株を買い戻すため、1株80円で100株買い戻します。
この時投じた金額は8,000円
→80円×100株
つまりA株を売却した段階で10,000円を得て、A株を買い戻した時に投じた8,000円の差額2,000円が利益になるのです。
グローバルマクロ
世界のマクロ経済(経済指標など)を分析し、金融市場のゆがみを見つけ、多種多様な対象に様々な手法で投資することを「グローバルマクロ」と言います。
特定の運用対象に投資するのではなく、世界中の投資対象に対して多様なポジションで張ることで、リスクをヘッジする手法です。
マネージドフューチャーズ
マネージドフューチャーズとは、先物取引で利益を追求する手法です。
株、債券のような金融商品から、原油、穀物などのコモディティも含めた上場している先物に投資します。
最近ではコンピュータの発達から、プログラムによる取引が中心となっています。
期待利回りはどの程度か?
優秀なヘッジファンドに投資をした際に、見込まれる期待リターンは年利20%前後です。
年利20%というのはどの程度の数値なのかを実感して頂くために、500万円を5年間年利20%で運用すると元手がどのように増えるのかについて見ていこうと思います。
年数 | 元利合計(円) | 利息(円) |
---|---|---|
1年目 | 6,000,000 | 1,000,000 |
2年目 | 7,200,000 | 2,200,000 |
3年目 | 8,640,000 | 3,640,000 |
4年目 | 10,368,000 | 5,368,000 |
5年目 | 12,441,600 | 7,441,600 |
年利20%で運用をすると、なんと4年目の時点で元手が倍になるのです。
仮に1,000万円をヘッジファンドに預ければ、4年後には元手は2,000万円を超えますし、1億円を預ければ4年後には運用資金が2億円を超えます。
参考までに他の投資商品の年間の期待利回りは以下のようになっています。
投資商品 | 年利 |
---|---|
株式投資 | 5% |
不動産投資 | 6% |
投資信託 | 3% |
国債 | 0.05% |
保険 | 1% |
他の投資商品と比較すると、ヘッジファンドの年利20%という数値の高さがよく目立つと思います。
さらに優秀なヘッジファンドであれば、年利30%を超えることも珍しくありません。
ただしリターンが高いということはその分リスクもあるということ。
ヘッジファンドのリスクについて、以下でしっかり確認していきましょう。
知っておきたいヘッジファンドのリスク
ヘッジファンド投資の主なリスク一覧
ヘッジファンド投資で考えられる4種類のリスクを一覧にしてみました。
ここで取り上げたそれぞれのリスクの詳細については上から順番に見ていこうと思います。
倒産リスク
まず一番最初に紹介するのは、ヘッジファンドが倒産するリスクです。
ヘッジファンドは資産運用会社である以上、運用に失敗をして巨額の損失を出せば会社が倒産するリスクがあるのは事実です。
ですが、この胴元の倒産リスクに関しては株式投資であろうとFXであろうと投資信託であろうとあります。
それに国内の多くのヘッジファンドの内部には、金融工学に精通した投資関連のリスク管理のプロが多数在籍しています。
彼等が緻密にリスク計算をするおかげで、国内のヘッジファンドの多くは、為替相場や世界経済がどのように動いても致命的な損失が出ないリスク分散を徹底できるのでしょう。
倒産リスクがゼロではないのは事実ですが、金融のプロがリスク管理を徹底している以上、ヘッジファンドの倒産リスクは低いといえるのではないでしょうか?
損失リスク
基本的にどのヘッジファンドも、投資家から集めたお金を複数のリスクマネーに変換する以上、保有しているリスクマネーの値動き次第では損失が発生することがあります。
たとえば要人の発言や急な金融政策の変更、クーデターなどにより相場が急変動することがあります。
ですが、ここでポイントになるのは「複数のリスクマネーに換える」ため、大きな損失を抑えられるということです。
どういうことかというと、ヘッジファンド各社は投資家から預かったお金を株・外貨・金・不動産といった異なる資産に配分します。
その結果としてどれか特定のリスクマネーが大きく値下がりを起こしたとしても、トータルの損失額は最小限になります。
つまりヘッジファンドは、私たち個人で運用するよりも多くの資金があるため、複数の投資先に分散投資ができるわけです。
投資先を分散させることで、リスクヘッジができているということですね。
流動性リスク
流動性とは投資した資金を現金にできるかということです。
この「現金化できるかどうか」という点において、ヘッジファンド投資は可もなく不可もなくといったことになります。
ヘッジファンドは解約しようと思えば、いつでも解約申請をすることができます。
正式に解約申請を行い、解約申請が認められれば解約ルールに基づいた期日にヘッジファンドの運用益を受け取ることも可能。
現金化を拒否されることはないという点を考えると、流動性は悪くないと言えるでしょう。
ただし、多くのヘッジファンドは解約ルールを決めつけており、「解約日は解約申請後の45日や決算前後の○○日は解約ができない」といった制約がよく見受けられます。
現金化する際にはヘッジファンド側が設けたルールを守らなくてはいけない以上、現金化のスピードに関しては課題があることをご理解を。
継続性のリスク
最後のリスクは、継続的に利益を上げられるかという継続性に対するリスクです。
「継続性リスク」が低いヘッジファンドは例え世界経済の動向が悪くても安定した結果を出せますが、「継続性リスク」が高いファンドは期待通りの結果は見込めません。
実はこの「継続性に対するリスク」の大きさに関しては各ファンドでバラバラ。
なぜならヘッジファンドの成績というのはファンド運用の責任を負うファンドマネージャーの腕次第であり、優秀なマネージャーの場合は不況でも結果を出せますが、そうではないマネジャーには期待できません。
つまり、優秀なファンドマネージャーがいるヘッジファンドを選べば「継続性のリスク」は低いですが、その逆のファンドを選べば高くなります。
そこでもしあなたがヘッジファンドの継続性に対して気になるのでしたら優秀なファンドマネージャーが率いるファンドを利用するのが良いでしょう。
リスクヘッジとリスク管理をしっかり確認
ここまでヘッジファンド投資でよく見受けられる4つのリスクについて見てきました。
ではこの4つのリスクに対して、国内のヘッジファンド各社はどのような対応をしているのでしょうか?
実は国内のヘッジファンド各社が実施しているリスク管理の鍵となるのが「現実的な運用目標」と「ヘッジ取引」です。
それぞれの詳細について上から順番にこれから見ていきます。
現実的な運用目標
まず最初に紹介する国内のヘッジファンドのリスク管理手法は運用目標を現実的なものにすることです。
投資の世界では高い利回りを求めるとそれだけ大きなリスクを冒すことになる以上、リスク管理を行う際には狙うリターンを適正なものにすることが欠かせません。
この点国内のヘッジファンドの場合、世界各国のヘッジファンド業界の中では地味な水準である年利15%程度を目標にすることが多いです。
必達目標をヘッジファンド業界の中では消極的な水準に定めるために不用意なリスクを冒さずに済む以上、各種のリスクの大きさを小さく抑えております。
しかも年利15%というのは必達目標である以上、手堅く15%を達成しながらも結果として年利が20%を超えることもあります。
海外のヘッジファンドと違い、国内のファンドは投資家の注目を集めるために過剰な目標を掲げることが少ないという点は見逃せません。
ヘッジ取引
次に紹介する国内のヘッジファンド各社が実施するリスク管理手法はヘッジ取引の実施です。
そもそもこのヘッジ取引というのは何かというと相場が逆に動いた時に対応をするリスクヘッジ用の取引のことです。
例えば値上がりを見込んで外貨を買う場合、万が一の大幅な下落リスクを考慮してあらかじめ特定の金額で売るための権利を買うことがあげられます。
これを行うことにより相場が予想外の動きをしてもあらかじめ準備したリスクヘッジ取引によって損失を補てんできるのです。
国内の優秀なヘッジファンドはこのヘッジ取引を多用するので、構造的に多額の損失が発生することがないような仕組みになっているのです。
ヘッジファンド投資で怖い大幅な損失リスクや胴元であるファンドの倒産リスクが気になるのでしたらヘッジ取引に力を入れているファンドを選ぶのが良いでしょう。
まとめ
ヘッジファンドの購入に関しては敷居が高いものの、ある程度の資金力があれば解決できそうです。
ただしヘッジファンドに関しては、流動性の低さ・ロックアップ期間・浮き沈みの激しさを考慮すると、短期での投資回収が必ずしも期待できるわけはありません。
購入には、当分使う当てのない余剰資金を充てるべきでしょう。
尚、当サイトにはそんなヘッジファンドでも出てしまった大損についてまとめている記事や日本のヘッジファンドランキングをまとめている記事もありますので、気になる方はチェックしてみてください。